旅の下敷きになった本
スペイン旅行前に頭にあったのはマンガ家青池保子さんの取材旅行記だった。
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エロイカより愛を込めてのとある一冊の巻末に短く載っていたエッセイマンガは、ドサ回りのスペインを回る当時の苦労が滲み出て、最後に強盗にまで遭ってしまうのが強烈なインパクトだった。
うっすらとイメージには残っていたけど、
最近再読して凄く影響を受けていたのを実感。
当時のスペイン国鉄は時間を守らない終点が変わる等のトラブルが多かった上、
(現在は到着が10分遅れたら払い戻しらしい…変われば変わる😭)
空気を掴めば…レベルの取材ではなく資料に当たって史実を1つ1つ確かめる、それらが物語にも反映されると言う創作への影響が重いモノ。
それらを旅程をマネジメントしながら不足なくこなして行くのは驚異。
また、パラドールに泊まったり食についての感想だったり、その短いマンガエッセイにどれだけ揺さぶられていたのか再読して驚愕w
正直スペイン内戦やフランコ云々は身に即した話とは思えなかったけど、明るい太陽と物憂げな午後と言うアンダルシアの風物は心に残って、
セビージャ行きたい!と言う動機は清武ばかりでは無かった😭
その脳内イメージの元になった本が、
岩波の子ども向け絵本「山のクリスマス」。
大都会インスブルックに住む少年ハンシが、
親戚を頼ってチロルの山の中のクリスマス休暇を過ごす話で、現実社会と憩い・温かさと冷たさ寒さが良いコントラストになっていて、大人になった今でも程よい楔を感じる本だったりする。
母子家庭と思われる都会での質素な生活と、豊かな空間や楽しみのある山の中、
雪の中の見回りや遊びとストーブの温かさ、お菓子の焼ける匂いや壺のスープのホカホカの湯気。チロルらしい風俗とシンプルな絵柄や色使いの絵。
楽しい日々も新学期が来れば都会に帰って元の生活に戻る事が決まっている、うたかたの夢の様な時間でもあり…
少し逞しくなって都会に戻るハンシはお母さんを助ける力を増していたり。
読んでいる自分もチロルを追体験した気持ちになり、焼き菓子の香りを嗅ぎながらぬくぬくしたいなとw
本の中では少し陰りある殺伐とした大都会インスブルックが、その後の見聞で山の中のハプスブルク家ゆかりの小都市である事に気付き、日本人スキー選手のオーストリアでの本拠地である事も知り、大都会中の大都会ウィーンと言う親玉がこの国には潜んでいる事に気付いたのですがw
イメージの膨張縮小を経ながら、個人的聖地としていつかは訪れてみたい場所に加わっていました。